石工は、「世界の構築」の寓意?

33万人の会員を擁するイギリス本部のパンフレットを見てみよう。

組織の起源について。
中世のテンプル騎士団が起源だという説は真実ではないらしく(以下のナショナルジオグラフィックのサイトを参照)、公式パンフレットにも、
「起源は不明。最初の記録は、1646年。世界で初めて、イギリスのGrand Lodgeが設立されたのが1717年
とある。ロッジというのはスキー・ロッジではなくて、支部のことだ。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=14888307&expand 

「起源には2説ある。1)巨大な聖堂や城の建設にあたる石工は、仕事に関する会合を持つための小部屋(lodge)をもっていて、そこで単純な加入儀式を行っていた。ギルドも職業資格も組合会員証もない時代だから、一人前の石工かどうかを見るため、見せるために、秘密のシンボルや言葉が使われるようになった。
2)宗教や政治上の意見の相違がしばしば、血なまぐさい戦争を引き起こした16世紀末から17世紀初め、寛容の精神を発達させてよりよい世界を作ろうとする人々がフリーメーソンを創設した。アイデアを伝達するのに、寓意やシンボルが使われていた時代だから、「石工、建設」が、「よりよい世界の構築」の寓意として使われた。当時、誰もが知っているのはバイブルだったので、そこに詳細が記されているソロモン王の神殿が、グループの儀式を行う神殿の原型となった。」(公式パンフレットのQ&Aより)

博物館(週日は毎日開館)には、フリーメーソンの紋章、礼服、儀式の際のエプロン(料理用ではない。礼服の前垂れ)、肖像画、シンボルが入った焼き物、アクセサリーがぎっしり展示されている。シンボルではコンパスと定規の組み合わせが代表的なものだが、これを見て、「やっぱりそうか」と思ったことがある。鳩山首相が笑顔で、誰かが指で作った三角形に指を入れている写真・・・この形にとても似ているのだ。フリーメーソンの挨拶だ、と陰謀論者らしき人がネットに載せていた。世界征服の陰謀論は別として、会員である、というのは事実なのかなあ。

博物館では、「フランス革命フリーメーソン」という特別展が開催されていた。これによると、ブルボン王朝の旧体制を嫌い、自由を求める軍人や貴族には、フリーメーソン会員が多くいた。革命後の英仏戦争で捕虜となった仏軍人は、囚われの地イギリスでフリーメーソン・グッズを作って生計をたてたという。当時は、後にイギリス王ジョージ4世となるプリンス・オブ・ウェールズフリーメーソンのトップ、という、英フリーメーソンの黄金時代だった。プリンス・オブ・ウェールズが儀式に使った巨大な黄金の椅子が初公開されていた。

フリーメーソンのシンボルの一つ、ピラミッドなどエジプト的な要素は、ナポレオンのエジプト遠征以来、人気が出たものらしい。イスラエルのソロモン王はエジプトのファラオの娘を娶ったから、そのことも関係があるだろう。ちなみに、ナポレオンの甥、ナポレオン3世が会員だったことはよく知られている。