ルーヴル美術館の無料レクチャー


きのう、ルーヴル美術館のアンフィシアターに、パリ市が主催するレクチャーを聞きに行った。アンフィシアターは、ルーヴル美術学校の授業にも使われる円形劇場形の大教室だ。
題して「パリ以前のルテシア--紀元前1世紀から後4世紀まで」。ガロ・ローマ時代、ルテシアと呼ばれていた時代のパリに関する連続レクチャーだ。登録する必要はなく、行きたいときに行けばよい。きのうは、ガロ・ローマ時代のパリの通りがどんなだったか、を、発掘資料や写真、地図を大スクリーンで見せながら、専門家が説明してくれた。
いつもよく通るサンジャック通りが、1世紀初めのローマ時代の南北幹線道カルドだったこと、次に大きいカルドが今のサンミシェル大通りであること、セーヌ川には今のシテ島、サンルイ島以外に、今は左岸と一体となっている島があり、その島と当時の左岸の間に今のサンジェルマン大通りが走っていること(サンジェルマン大通りとサンミシェル大通りの交差点にローマ時代の浴場跡、今のクリュニー博物館がある)、6区に始まり15区を貫通して南西に走る長い通り、ヴォージラール通りもトゥール、ポワチエに通じる道だったこと(ローマ時代のルテシア市街地をでたすぐのところに、サダハル・アオキのお菓子屋がある)、パンテオンの近くから南東に走るロモンド通りは、かつてリヨンを経てローマに通じる道だったこと・・・1時間があっという間に終わってしまったほど、おもしろいレクチャーだった。


で、ここで何を言いたいかというと、このレクチャーは無料なので、よい時間を過ごすのにはお金を使いたい私としたことが、ただでよい時間を過ごしてしまった、ということなのだ。
雨が降る寒い日だったが、1000人は入るアンフィシアターは、満杯だった。しかも、平均年齢は「赤いちゃんちゃんこ」を遥かに越えている。フランス人は日本人より老けて見えるが、それを割り引いても、遥かに越えていると思われる。若い人は、あちらに一人、こちらに一人、とちらほら程度だ。


すごいなあ、パリのご隠居さんは。
知的刺激を得られる機会が手軽に、身近にある。しかもタダ、である。だからたくさんのご隠居さんが押し掛けるのか、それとも、こういう企画があれば、参加者がたくさんくるのは間違いないので、市も予算を組んでやれるのか。

東京都でもやってみたらどうだろう。「江戸以前の東京」とか、そんなレクチャーがあれば、私も行ってみたいものだ。