2010-01-01から1年間の記事一覧

バスクの恋

4月初め、友人の住むバスク地方(スペイン側ではなくフランス側の)へ行った。友人の住む町は見るべきものが何もなく、まったくもって退屈なところであった。友人の周りの人たちはみな、新聞の三面記事のような破滅的な愛の物語を抱え、都会からここまで流…

タケシの展覧会

「タケシ・キタノお絵描き小僧」展は抱腹絶倒の面白さだった。 カルティエ財団というコンテンポラリー・アートの殿堂のような場所で、よくもこれだけおもしろい展覧会が開けたものだ。ちなみに、この建物は、ジャン・ヌーベルという仏建築家の設計によるもの…

またまた「パリ症候群」

土曜日、パリの日本文化会館で「パリ症候群」という映画の上映会があった。パリ症候群というのは、20年近く前、パリ在の日本人精神科医が書いた本のタイトルで、パリに来て精神を病む日本人(若い女性に多い)の症状を名付けたものだ。異文化における適応障…

映画、La Rafle (一斉検挙)

映画、La Rafle (一斉検挙)を見た。1942年7月、ナチ占領下のフランス警察によって、パリに住むユダヤ人が一斉検挙された事件を扱った映画だ。ユダヤ人の友人を誘ったが、「恐ろしい時代を思い出すのもいや。見たくない」と言われた・・・。映画は、酷評にす…

マリアカラスの墓

所用でペールラシェーズ墓地の近くに行ったので、去年、心臓発作で急死した友人のお墓参りをした。お墓といっても、ロッカー型の骨壷安置所だ。同じく心臓発作で亡くなった彼女のご主人、次に亡くなった彼女のお母さん、彼女と、3人の骨壷が安置されている…

「黒の画家」ピエール・スーラージュ回顧展

ポンピドーセンターで「黒の画家」ピエール・スーラージュ(1919年生まれ)回顧展を見た。「生存中のフランス人画家としては、一番有名な画家」とされるが、作品と名前が一致しない人も多いだろうから、以下のサイトで作品を見て下さい。ああ、この絵なら知…

アフリカで骨折治る

1週間ほど、アフリカのマリへ行ってきた。だいぶ前に予約していたドゴン地方のトレッキングだ。「2ヶ月間、旅行不可」という医者の手紙を用意しながら、キャンセルをぎりぎりまで引き延ばしていたら、なんだか出かけられるような気がしてきた。で、思いき…

ザンスカーの少年僧

「ヒマラヤ、空の路」というドキュメンタリー映画を見た。ザンスカー・ヴァレーの奥地にあるプクタル・ゴンパ(僧院)の少年僧の話だという。この一帯を一緒にトレッキングした友人がパリ映画ガイドで見つけてくれた。 http://japan.unifrance.org/映画/3104…

検閲アートが再び陽の目を見る

その帰り、ボザールの前を通ったら、検閲されて撤去された旗が再び、建物の前に飾ってあった(参照2月14日の日記)。 フランスで検閲、というのは大スキャンダルになる恐れがあるし、中国から「お宅もやってんじゃないの」と言われれば反論できないので、 …

チベット正月

チベット暦では、今年は2137年。その正月を祝うディナーがパリ11区のチベットレストランで催された。チベット人のミュージシャン&ダンサーのテンジン・ゴンポが歌い踊る。 客はほとんどフランス人。フランスにはチベット人が5000人住んでいるらしいが、彼ら…

粘土細工師のパン屋さん

サンジャック通りをずっと下ったところに、素敵なパン屋さんがある。壁一面にパン細工、その下の大皿にパンや焼き菓子を並べただけのかわいいお店だ。「ブーランジェリー・パティスリー」(パン・菓子屋)という看板があるだけで、店には名前がない。バゲッ…

自由の国フランスでアート検閲

パリのボザール(国立美術学院)でこの週末、ボザールほか2校の学生の作品展が開催された。作品の検閲騒ぎがあったので、野次馬の私は、一体何が起きたのか気になって、出かけてみた。正面入口の階段に、「稼ぐ」、「より少なく」、「もっと」、「働く」と…

アンジェイ・ワイダの新作「タタラク」

ポーランドのアンジェイ・ワイダ監督の新作「タタラク」がパリ5区の小さな映画館で上映された。言うまでもなく、「灰とダイヤモンド」「地下水道」など、独ソの間で苛まれるポーランドの抵抗を描いた作品で知られる監督だ。 私が聴講している学校の主催で、 …

ベルリーニの「夢遊病の女」

2日後は、ベルリーニの「夢遊病の女」。こちらは、取り替えてもらわなくても大丈夫な、いい席だった。またクッションを2つ持って出かける。フランスの人気ソプラノ、ナタリー・ドゥセーが夢遊病のアミーナ役、というので、ウェルテル以上に切符がとれない…

カウフマンのウェルテル

医者から3週間座れない、と言われている。しかし、何ヶ月も前から楽しみにしているオペラを諦めるわけにはいかない。幸いマスネの「ウェルテル」は、前が空いた席に変えてもらえたので、クッションを2つ持って出かけた。オーケストラ席の後半部最前列。浅…

1942年、ヴェルディヴのユダヤ人一斉検挙

オランダに住む友人から、「今読んでる本に出てくるのだけど、パリのヴェルディヴってどこにあるの」と聞かれた。 調べてみると、1942年の7月、ドイツ占領下のフランス、パリで警察による大規模なユダヤ人狩りがあり、逮捕されたユダヤ人がアウシュビッツに…

はかない夫婦の絆

事情通の仏友人から、日本でもよく知られる仏大企業の最高経営責任者が日本女性と結婚するため離婚を準備中だ、と聞いた。 えー!! 奥さんが、家庭を守る妻の尊厳、夫婦の絆、家族の絆を唱い上げた本まで出版しているというのに。 お相手は画家で、彼のスポ…

骨折休養中

急にまたブログを書くようになったのは、ヒマを持て余しているからだ。 腹這いで本を読んだりテレビを見るくらいしかやれることがない。日本から戻り、すぐに仏アルプスにスノボーに行ったのだが、2日目に仙骨を骨折してしまった。痛かったが、医者に行かず…

サルコジxドビルパン、ヴェルダンの決戦

おもしろいことになってきた。 クリアストリーム疑惑で、政敵サルコジ(当時は内相)を追い落とすため虚偽告発をしたとして裁判にかけられていたドビルパン元首相が、無罪判決の翌日、テレビ討論ではっきりとサルコジ大統領に宣戦を布告した。 木曜日の判決…

新聞に載っていた、<2010年、もう聞きたくない言葉>リスト

購買力、危機、新型インフルエンザ、ワクチン、不安感、国家のアイデンティティ、不良、フレーズでは「マダムーー、これは簡単なことなのですよ」「我らが愛するフランス」ーーーなんだ、ほとんどが、サルコジ大統領の口からでる言葉や口癖ではないか。 購買…

新型インフルはもう終わり

日本滞在を終えてパリに戻り、溜まった郵便物を開封していたら、あったあった、ワクチン無料接種の案内が! フランスでは年末、新型インフルエンザのワクチン接種を呼びかけるキャンペーンが大々的に繰り広げられたらしい。2回の接種が必要、という専門家の…

元首相、無罪放免

クリアストリーム疑惑(以下9月の日記参照)で昨年10月、執行猶予付き禁固18ヶ月、45000ユーロの罰金刑を求刑されていたドビルパン元首相の裁判が今日結審した。結果は、無罪放免。偽造文書を作ったとされるIT専門家ラウド、それを公にした航空産業の元副社…