2008-01-01から1年間の記事一覧

冬の街角から

あれっ、この寒いのに、と思って見上げたが、看板をつり上げている人は動かない。黒板には、「言葉を信用してはならない」と書いてある。ベルヴィル街で見た、メッセージ色が濃いビルの飾りだ。ベルヴィル街は中国、ヴェトナム、インド、マグレブなどからの…

冬の夜、劇場で過ごせば春が来る

今年はほぼ毎月、1週間は家を空けていたが、11月は丸ひとつき、パリにいた。授業が始まったからだが、それに合わせて、いろいろなコンサートの切符を買いだめしていたからでもある。 10月末に夏時間から冬時間に切り替わると、急に夜の訪れが早くなる。季節…

クリスマスに思う

シャンゼリゼのイリュミネーション ギャラリーラファイエットの外観 ギャラリーラファイエットのドームの飾りブログに写真のアップロードができなかったので、しばらくほったらかしておいた。すると今日、友人から「ブログお休みですか、お元気ですか」とい…

パリは掘りごたつ

私はなぜ、こんなトシになって、一人でパリに住んでいるのだろう。秋も深まり、日が早く落ちるようになり、しかも雨など降っていると、寂しくなって自問する。まあ、それも一瞬のことではあるが。パリは私のやりたいことがやれる場所だ。今やっている勉強も…

ダジャレで無邪気に盛り上がる日本

テレビで、オバマ大統領誕生に関する世界の反応が報道された。もちろん異色は日本の応援団、フラダンスとも阿波踊りともつかない不可思議な踊りを踊るオバマ市?オバマ温泉?の人たちの映像だった。松圏とか真家陰とかいう地名だったら、彼らはマッケインを…

パリもオバマニア

パリの数カ所で、テレビの選挙速報を見ながら、アメリカの新大統領誕生を祝おう、という催しが開かれた。時差の関係で、催しはみんな夜中に始まり、大統領が決まる明け方まで続く。共和党、民主党の両方が参加するパーティもあったが、 私は、オバマ・パーテ…

大雨、大雪のモロッコ

飛行機から、水平に走る稲妻が見えた。オリーヴの木々は、赤茶色の洪水のなか。同じ形の貯水池が2度見えた。燃料がなくなっちゃう、と不安が募る。結局、マラケシュに着陸できず、私たちはアガディールまで連れて行かれた。そこで給油して天候回復を待つ。…

モロッコ最高峰トゥブカル山

今日から、モロッコ最高峰トゥブカル山に登りに行く。 山に行けば疲れていやになるのに、家に戻るとまた行きたくなる。家でバックパックに必要なものを詰め、山に思いを馳せるときがほんとうは一番ラクチンで楽しいのだが、またしんどい山に行ってしまう。だ…

ポスターをはがして金持ちになった男

知らない町を旅しているとき、ポスターを貼り続けた古びた壁がおもしろく、写真を撮ったことがある。写真をとるまでいかなくても、古いポスターが新しいポスターの破れから見える様に、目を引かれた経験は多くの人がもっていることだろう。 それを、アートに…

チベットの子供のためのコンサート

昨夜、モンマルトルの古い劇場で、チベットの子供のためのコンサートが開かれた。 フランスにあるチベット仏教センターの主宰で、 収益および募金がチベット孤児や僧院にいる子供たちのために使われるという。 まずは、フランス亡命チベット僧によるお唱名に…

ある晴れた日、エミール・ノルデ

ノルデの「キリストの生涯」グランパレでエミール・ノルデ(1867-1956)の展覧会が開かれている。晴れた日に歩いて行ってみた。ピカソ展が始まったばかりで、そちらは長蛇の列だが、こちらは比較的静か。 数年前バーゼルの美術館で、心象的な風景画を見て、…

謎多い在パリ邦人殺害事件

パリ在の日本人が犯した犯罪といえば、あの佐川事件がある。これほどセンセーショナルではないが、関わった日本人の数(被害者、加害者含めて3人)、死者の数(日本人3、仏人1人)では佐川事件をしのぐ謎の事件が10年前にあった。 パリ在の建築家、尾嶋彰氏…

「眠れぬ夜」を少しだけ楽しむ

昨夜は、パリ市が2002年に開始した、年に一度のアート・イベント、ニュイ・ブランシュだった。これは「白夜」ではなく、「眠れない夜」という意味で、町中いろんなところでほぼ夜通しでさまざまなイベンドが行われる。 今年はパリの5地区を中心に、プログラ…

テネレ砂漠単独横断

私が時々トレッキングに参加する、歩く旅専門のエージェンシーで、「テネレ砂漠、単独横断」の記録映画が上映された。 テネレ砂漠とは、サハラ砂漠中南部一帯の砂漠で、フランスとほぼ同じ面積だ。フランス人冒険家のピエールが、6週間かけて700kmを単独で…

映画カフェ

友人が、映画カフェに連れて行ってくれた。オーナーは女優のカトリーヌ・ドヌーヴ。 壁にはさまざまな映画人のモノクロ写真がかかっていて、広い空間には、ゆったりしたソファや小テーブルが並んでいる。どれも異なるデザインなので、空間に仕切りがなくても…

ホルマリン漬けの死体?

ホルマリン漬けの死体、ではない。先日見た、ストリートパフォーマンスでのひとこまだ。 フランスで活動するドイツ人のアーティスト、Jorg Muller (oとuの上にウムラウト)さん。水中芸の草分けらしい。水は35度くらいらしいが、だんだん冷めるのじゃないか、…

「がっかり」でショーの光のショー

「がっかり」は、「日仏交流150周年を記念して、パリのセーヌ川周辺に日本の絵画作品などを投射して和風に染める大規模な光のショー」(朝日コム)だ。照明の第一人者、石井幹子さんの企画というから、期待を膨らませ、友人を誘って、ネットに写真が載ってい…

パリにいないパリジェンヌ

9月初め、パリに戻ってきた。6月からずっと、1週間から10日の小さな旅を4つ、1カ月の大きな旅を1つしたので、あまりパリにはいなかった。これでは、パリジェンヌと自称できないなあ。 旅の話は後日に回して、今日は、先週一番の「めっけもの」と「がっ…

日仏パン事情

日本から戻ってすぐ、写真展を開いたり、ポルトガルに行ったり、いろいろ忙しくて、ブログのことを忘れていたわけではないのだが、書いてみようと思ったとき、「日記を書く」やり方がわからなくなってしまっていた。で、しばらく放っておいたが、今日再びや…

チベット旗で聖火を迎える国会議員

チベット人と一緒に対岸にある議会前に移動すると、大きな旗を持った人は警官に追われていなくなってしまった。ツーリストを装い、議会前に居座っていると(もうじきまた聖火が通る)、日本ではあり得ない光景が! 議事堂から30人ほど議員さんが出て来て、チ…

聖火のお通り

ロンドンから来た聖火が、エッフェル塔を出発し、パリを26kmほど走るという。 聖火リレーの開始時間ごろ、エッフェル塔に行ってみた。道路が閉鎖されていて、エッフェル塔に近づけない。ところが、おまわりさんが親切にもテープを上にあげて、自転車に乗る私…

フランスでは参加選手も発言、日本では、政府までだんまり?

ダライ・ラマが訪米途中の4月10日、日本の空港で飛行機を乗り換える。外相が、通過査証を出す、というニュースがあったが、福田首相や外相は面会を予定しているのだろうか。今回の件に関して、日本の政治家は何らかの発言をしているのだろうか。 第二次大戦…

またまたチベット。この写真を見て!

3月29日の朝日コムで、「ダライ・ラマが、今回のチベット騒乱について『数百人の中国人兵士が僧侶の格好をしていたと聞いた』と発言。『僧侶が暴動を始めた』とする中国側の主張を念頭に、騒乱のきっかけを中国側が仕掛けた可能性を示唆した」という記事を…

ヴィラ・メディチ、専横の犠牲者

ローマのアカデミー・ドゥ・フランス(ヴィラ・メディチと呼ばれるフランス文化館)は、フランスの在外文化機関のなかで最も重要な機関とされ、歴代館長には、アングルやバルチュスといった重要な画家が名を連ねている。年間予算も500万ユーロ(8億円近い)…

再びチベット

チベットおよび中国各地のチベット人に対する武力弾圧が激しさを増しているなか、「国境なき記者団」は調査機関に依頼して北京オリンピクに関する世論調査を行った。それによると、フランス人の53%が、北京オリンピック開会式をボイコットすべき、と考えて…

初めて聞くラン・ラン

午前は、ラン・ランのピアノとヴァディム・レーピンのヴァイオリンとバルトリの組み合わせ。はじめて聞いたラン・ランは、バルトリと息もばっちり。ピアノあるいはヴァイオリンと歌の、お互いの入り方は、ジャズのジャムセッションのようだった。「私の番ね…

バルトリ漬けの一日

朝11時のコンサート 2008年3月24日は、28歳で亡くなった伝説のオペラ歌手マリア・マリブランの生誕200周年。マリア・マリブランを敬愛するメゾソプラノ、チェチーリア・バルトリが朝11時から3回も出演して、マリアのレパートリーを歌う特別コンサートがあっ…

エッフェル塔のもと、旗めくチベット旗

トロカデロで、中国によるチベット人抑圧に抗議する集会があった。「国境なき記者団」のサイトで知ったので、行ってみた。エッフェル塔の対岸、シャイヨー宮前の広場。強風のなか、フランス国旗とチベット旗が旗めく。フランスに住むチベット人は500人くらい…

マカロンの日

朝10時ごろ、お菓子屋のピエール・エルメの前に長い行列ができているのを見た。新商品でもでるのかしら、と思いながら、授業のあと(ある大学の授業を聴講させてもらっている)同じ道を通ったら、まだ行列が続いていた。 気になったので、並んでいる人に聞い…

AOCチーズ、トム・デ・ボージュ

さて、チーズの晩ご飯だが、これはマトゥイユ(La Matouille)と呼ばれる、ボージュ地方の名物料理だ。土壁のようなカビで覆われた直径17-18cmの円盤形のチーズ、トム・デ・ボージュを丸ごと使う。まず、チーズを耐熱の深皿に入れ、表皮の上部だけ切り取って…