フランスNPO、福島で食品汚染を測る

5月24日、フランスのCRIIRADというNPOの原子物理学者と土壌調査専門家が日本で活動を開始した。CRIIRADというのは、「放射能に関する調査および情報提供の独立委員会」で、ちゃんとしたラボを持ち、フランス厚生省から技術資格証明書も発行されているれっきとした研究機関だ。解体作業中のブルターニュ地方の原発の環境汚染をつきとめたのもこの委員会だった。チェルノブイリ事故の際、フランス政府やメディアが、事故原発は遠いから大丈夫、とか放射能雲は国境で止まった(!)、とかいって、国民にその危険を知らせず、多くの人が放射能汚染された食品を食べた苦い経験から、この委員会が生みだされたという。

政府や東電の発表が信用できない日本でも、こうした独立機関が生まれるべきではないか?

CRIIRADの2人は、茨城県福島県を中心に、住民の被曝度と環境、食べものの汚染度を調べ、政府や東電が発表する公の数値が現実を正しく反映したものかどうか、を見極める予定だ。彼らの調査の確かさは、フランスはおろか欧州でも定評がある。大きく違う結果がでたら、日本政府はどんな反応を示すだろうか。日本政府や東電のデータが信頼できるものであれば、わざわざフランスから来る必要もなかっただろうに。

日本のパートナー団体は、47都道府県に1つずつ放射線測定器を配備しよう、という団体「測定器47台プロジェクト」だ。CRIIRADと「測定器47台プロジェクト」はこの週末、福島市で食品無料測定ワークショップと子供の被曝に関する講演会を開催するそうだ。

彼らの活動には頭がさがる。と同時に、なんだか悲しくて仕方がない。本来なら事故に責任のある国や東電がやるべきことなのに、こうして外国や日本のNPOが、ほそぼそ寄付を募って活動しなければならないなんて。日本にはもう政府がないのだろうか。