あと7万人避難せよ、仏放射線防御原子力安全研究所の報告書

フランスのIRSN(放射線防御原子力安全研究所)はこのほど、福島原発事故によって影響を受けた北西部の住人が、事故から66日目にどれだけ外部被曝を受けたか、を評価するレポートを発表した。
この機関は、日本の原子力安全委員会に相当するもので(原発推進側ではあるが、科学者の良心を売り払った人間が居並ぶ日本のそれとは違う)、どちらかといえば控えめな評価をするが、今回の報告書にはショックを受けた。表を転載する方法を知らないので、文で書いてみる。

高汚染地域はチェルノブイリでは以下のとおりだった。
740万ベクレル(年間100ミリシーベルト)まで、370万ベクレル(50ミリシーベルト)まで、150万ベクレル(20ミリシーベルト)までの3地域、合計3100km2が強制避難圏。それに555000ベクレル(7ミリシーベルト)の任意避難圏7200km2を合わせて、人口27万人が避難対象となった。最初の避難ゾーンは、その半分の135000人が住む30km2圏だった。

福島ではどうか。
最初に指定された避難圏(警戒区域と日本では言うそうだが)半径20km圏は面積にして628km2、人口85000人。一番の高汚染地域の汚染は、チェルノブイリをはるかに超える300万ー1500万ベクレル(年間の外部被曝100-500ミリシーベルト。これは確実に人体に影響を及ぼす線量だ)で、79km2。次に汚染度の高い150万ベクレル(50ミリシーベルト)91km2、50万ベクレル(16ミリシーベルト)384km2、30万ベクレル(10ミリシーベルト)320km2、計874km2という広大な地域が、極めて汚染度の高い地域となっている。これには最初の避難圏628km2が含まれるが、その差、246km2が、2ヶ月余り放置された汚染圏ということになる。
被曝するに任せられた人々の数は、なんと69400人。中には14歳以下の子供が9500人含まれている。69400人のうち26000人以上が、このままここに住み続ければ、最初の1年に16ミリシーベルト外部被曝をするという。

なんというショッキングな数であろうか。やっとこの高度汚染地域にある飯舘村や川俣町の計画的避難が始まったが・・・2ヶ月以上、すでにひどく汚染されてしまったのだから、できるだけきれいなところに避難して欲しい。