アーニー・ガンダーソンの最新の分析

<ひどい余震が来て、4号機が崩壊することがあれば、すぐ東京を離れろ。今までのどんな科学的知識も及ばないところに来てしまっている。核燃料が地面に落ちて、熱くなっているなんて、だれも分析したことがない未知の事態だ。>(6月3日ガンダーソン談)

福島の現状について、一番わけがわからないのが政府、東電の記者会見だ。時間の無駄だから、もう見るのはやめた。西山メガネが「放射性物質はそれほど遠くまで飛んでない、近くに飛散したと思います」と言えば、「その根拠はなにか」と聞くのがジャーナリストだと思うが、つっこむ人がいない。もうダメだ。

で、いつも読んでるのが、京大の小出助教と中部大の武田邦彦教授のブログ。
http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/
http://takedanet.com/
前者は誰かが、メディア上での小出助教の発言をまとめたもので、現在起きていることの分析がわかる。後者は、この現実にどう対応すればよいか、具体的なアドバイスがたくさん載っている。
あとはフランスのCRIIRADのサイト。http://www.criirad.org/
日本語と書かれたところをクリックすると、日本語訳されたものが読める。
このほか、アメリカの原子力専門家アーニー・ガンダーソンのビデオもよい。http://vimeo.com/22865967
しばらくガンダーソンのビデオが出ていないので調べてみたら、最新のインタビューが載ったサイトが見つかった。これが彼の最新の見解だ。冒頭のカッコ内のように、かなりシビアなものだが、読むべきだと思う。このほか重要な部分だけ抄訳してみた。

福島原発は、制御できるまでに何年もかかかるだろう。今後、
台風や風向きによって、人口密集地帯が放射性物質で汚染されたり、地下水が汚染されたりする危険がある。」

「融けた核燃料は、表面だけ水で冷やされたとしても、中央は5000度(アメリカだから°Fだろう。摂氏だと2760度)くらいあり、それが格納容器の底に平たくたまっていると思われる。もう原子炉はないも同然、圧力鍋があるだけ。現在のところコンクリの床を溶かしているとは思われないが、やがてそういうことになるだろう。そうでなくても、ダメージはすでに甚大なものだ。格納容器にひびが入っているのは確実で、注水はしていても、核燃料の表面だけ冷やし、その水はそのまま底に流れ出している。こういう形の冷却は望ましいものではない。一度核燃料にじかに触れた水は、ウラン、プルトニウムセシウムストロンチウムなどすべてを含みながら、ガスになったりして環境に排出されるからだ。」

質問者ーーこれは崩壊熱によるものか、再臨界によるものか。崩壊熱で5000度にもなるものか?

「4、5%の低濃度ウランが溶融する場合、再臨界は起きない。再臨界がここで起きているならーーヨウ素131がまだ出ていることから、そう思われるがーーこれは1号機、2号機からのものではない、なぜなら、1号機、2号機の燃料はすでに融けて格納容器の底にたまっているからだ。」

質問者ーーでは、3号機からか?

「3号機は完全に溶融しておらず、燃料はまだ底に残っているだろう。まだいくらかの燃料は燃料棒の形態を留めている。この状態だと再臨界は起こりうる。また、使用済み燃料プールは1から4まですべて、再臨界を起こす可能性がある。ヨウ素131のかなりの量の放出がいまも頻繁に見られることから、1号機から4号機までの使用済み燃料プールか3号機が、呼吸をするように、再臨界しては高熱に達してそれが止まる、というサイクルを繰り返しているように思われる。」(ここで思い出したが、小出助教が同様の発言をしていらした。ぷすぷすと繰り返す小さな再臨界、といった感じだった)

質問者ーーもし今東京に住んでいたらどうするか?

「いや東京だけじゃない、アメリカ西海岸にも適用されるべきことだが、まず、ドアを入る前に靴をぬげ、埃を湿らせろ、埃を乾かさないように。問題は、今、家の中に2ヶ月の間たまった放射性物質を含む埃があること。埃を払えば、それを空気中に拡散させることになる。HEPAフィルターを設置して、フィルターを頻繁に取り替えるようアドバイスしている。部屋や車のエアコンのフィルターを取り替える。今は決して家屋の解体作業をしない。
また4号機に要注意。もしこれが余震や地震で崩れたら、政府の言うことは信じずに、すぐ東京を離れろ。」

質問者ーー食べ物に関する注意は?西海岸でも危ないのではないか。

ヨウ素半減期を考えると、もう大丈夫なはずだが、まだヨウ素が排出されている。前に述べたような、再臨界が続いているからだ。6月半ばまでミルクはやめたほうがいい。魚は、福島から160km圏内のものは絶対食べるな。これは食物連鎖のため、時間とともに悪化する。日本海側のものは大丈夫だ。
セシウムは筋肉にたまり、ストロンチウムは骨にたまる。魚の骨を食べなければ大丈夫だが、食物連鎖でこれからマグロやサケなど大型魚の汚染が進む。FDAアメリカに入る魚の汚染をチェックしていないのが心配だ。いずれマグロなどに汚染がでてくる。マグロは太平洋を回遊しないが、2013年までに、西海岸の海水汚染、大型魚の汚染を見ることになるだろう。」

質問者ーーチェルノブイリ黒海を汚染した以上に、福島が太平洋を汚染している、という話があったが。

「信頼できる海洋科学研究所ウッズ・ホールがそう見積った。この研究所は、チェルノブイリの10倍の海洋汚染があると言っている。福島はまだ終わっていない。放射性物質を吐き出している。小魚には基準値以上がもう検出されているが、これらは大きな魚に食べられて、大型魚での汚染がすすむ。海藻はヨウ素だけでなく、セシウムもためることがわかっている。前に海藻はもう大丈夫、と言ったのは間違いだ。」
福島原発の浄化には300-500億ドルかかる。通常は10億ドル程度だが、核燃料が溶融しているので、だれもコストを計算したことがない未知の事態だ。これは東電が支払える額ではないので、国の肩にかかってくる。内陸部の除染には、1000億ドル以上かかるだろう。」
http://www.chrismartenson.com/blog/exclusive-arnie-gundersen-interview-dangers-fukushima-are-worse-and-longer-lived-we-think/58689