チベット旗で聖火を迎える国会議員



チベット人と一緒に対岸にある議会前に移動すると、大きな旗を持った人は警官に追われていなくなってしまった。ツーリストを装い、議会前に居座っていると(もうじきまた聖火が通る)、日本ではあり得ない光景が!
議事堂から30人ほど議員さんが出て来て、チベット旗と手錠五輪旗を振りながら一列になり、慣れない手つきで「中国での人権尊重を!」という横断幕を広げたのだ! 議員さんの列はどんどん膨れ、数えてみると50人近い数になっていた。聖火を迎える国会議員が、こんな意思表示をする国がほかにあるだろうか。大統領があれでは、と、この国の将来を危ぶんでいたが、まだまだフランスは健在だ。


聖火が通過して、議員さんたちが職場に戻るとき、手錠五輪の小旗をちょうだい、と言って下に落としてもらった。中国人と間違われないよう、旗を持っていた方がいい。お礼ついでに、「我らが福田首相に電話して、だんまり止めて行動しよう、って誘ってくださいませんか?」と言ったら、「どの国から来たの?」
議員さんですら、フクダったって、どこの誰だか知らないようだ。無理もない。

 護送車から叫ぶ逮捕者。

手錠五輪の旗を持って中国人グループのそばを通ると、突然、耳元でなんやら大声で叫ばれた。若い中国人ばかりだ。本国からパリ旅行をエサに動員されたのだろうか。小競り合いはあちこちであったが、中国人グループの叫びはいつも、「You know nothing!」だ。今日の抗議行動だってまったく報道されない国の人が、どんな真実を知っているというのか。
しかし彼らもある意味では犠牲者なのだ。国の情報規制と偏った教育によって、頭の中まで変えられてしまった、という意味において。