「がっかり」でショーの光のショー

「がっかり」は、「日仏交流150周年を記念して、パリのセーヌ川周辺に日本の絵画作品などを投射して和風に染める大規模な光のショー」(朝日コム)だ。照明の第一人者、石井幹子さんの企画というから、期待を膨らませ、友人を誘って、ネットに写真が載っていた地点に行ってみた。午後8時から4時間のショーだという。すると、コンピューターをたくさん積んだ船が停泊しており、招待客(多くが日本人)が列を作っていた。40分ほど待ったけれど、何も始まらないので、近くで食事をしたあと、同じ地点に戻ってみると、もう船は出航したあとで、光のショーも何もない。

翌日、別の友人が、プログラムを見つけたので行ってみよう、と言ってきた。ちゃんと地図もでていて、25の橋に何時から何時までイルミネーション、この地点では何時から何時まで絵のプロジェクション、と詳しく書いてある。ちゃんと調べないで行った私がおバカだったのね、と、今度は安心して出かけたのだが・・・。

やはり何もない。

同じプログラムを持って歩くフランス人家族と出会ったので、聞いてみると、「シャンゼリゼからずっと歩いてきたが、何もなかった」。
夜風が寒く、体にこたえる。でも、10時半からプロジェクションがあるから、これだけは見て帰ろう・・・プログラムで場所の再確認をすると、日本語では「シテ島の南東側」、フランス語では「南西側」!!!
仕方なく、中間あたりを10時半から11時近くまでうろうろ、結局、何も見られず、家に帰った。

チラシをみてわざわざ行った人で、ちゃんと見られた人はいるのだろうか。防寒服を着て河畔で4時間、待機していれば見られたかもしれないが、パリの夜は晩秋、いやもう冬なのである。
おそらく、船が通り過ぎるときに運良く特定の場所にいた人は見ただろう。でも、それが一体何なのかを知ることなく「きれいだね」で終わってしまったことだろう。それはそれでいいけれど、わざわざ行ったのに見られない、というのは腹立たしい。

船に招待された人だけが船から見られるプロジェクションだったのなら、お金をかけてチラシを作る必要もないし、記者さんよ、そんな公共性のないプロジェクトを大々的に報道することもないでしょう。(招待されなかったからひがんでるわけではありません)

別の友人に文句を言ったら、「うちにもその案内が来たけど、ここのコーディネートがひどいのを知ってるから、私は信用していないの。案内をもらっても行ったことがないよ」という。そうか、周辺に問題ありだったのか。このアーティストの名誉のためにも、それだけは付け加えておきたい。アイデア自体はすばらしいものだ。ちゃんとしたところで組織して、再度見られる日が来ることを願っている。