パリの春、ゼネストの春


すばらしい春日和の今日、フランス中がゼネストをするそうだ。パリでは100万人以上がデモに参加すると見られている。交通機関の多くがストに参加しており、市の貸し自転車も今日は出払っていることだろう。

近所の高等教育機関では2日前、学生が教室を占拠し、警官に排除される事件があった。そのためか、今日は多くの大学が閉鎖され、私が参加するセミナーも、お休みだ。学生の抗議は、政府の教育予算削減策の一環で、研究者、教授などの数が削減されることに対するものだった。鉄道職員の場合は、退職年齢引き上げに対する反対(これに関しては、蒸気機関車に石炭をくべる時代ではないのだから、55歳から引き上げられて当然だと思うのだが)など、既得権の剥奪、自らが被る不利益に対して、さまざまな産業部門が反対の声をあげている。
しかし、今回の大抗議行動は、個々の問題に対する不満というより、国民の7%を占める富裕層に対する減税をはじめとするサルコジ大統領の政策に、ほとんどの人が満足していない、ということの表明であるようだ。この経済危機のなか、購買力増大を唱いながら、購買力は低下するいっぽうだし、あちこちで愛想ふりまいて約束したことは何ひとつ実行されていない。
ミテル鉄鋼会社の人員削減では、「絶対に雇用を守る」と大見得をきったにもかかわらず首切りが実行された。この組合は花崗岩の墓石に「サルコジ大統領の約束の墓」と刻んで、工場敷地に埋める儀式を執り行って話題となった。

失業率は8%を超えた。浮浪者も増えた。経済危機に対する無策が不満噴出の原因だというのに、大統領は「ゼネストしたって自分は何も変えるつもりはない」と開き直り、国民の感情を逆なでしている。要注意、要注意! 革命を起こした国民に言う言葉ではないでしょ!
今回のストには、国民の76%が賛成している。午後2時に始まるデモは、ここ10年で最大のものになるだろう、と予想されている。