3日のオーバーステイ

トレッキングはきつかった。開始3日目に5600mの峠越え、氷河下り。腰まで来る濁流渡り・・・。
下痢と腹痛、吐き気が激しい。トレッキング開始前のトラブルで、体が疲れきっているのに、出国期日にあわせて予定を変更したため、強行スケジュールになってしまった。野営地で寝込んでしまい、出国期限に間に合いそうにない。高地湖の端にある貧しい村に着いたが(ここまでは歩くしかなかった)、無医村だったので、レーに行くツーリストの車に乗せてもらう。レーに行けば、病院がある。
ちょうど3日のオーバーステイだ。空港で病院の診断書を見せて事情を説明すればわかってもらえるだろう(何と読みが甘かったことか!)。病院に行ったのち、すぐにでもデリーに飛び、パリ行きの飛行機に乗りたかったが、レーからデリーまでの飛行機は14日まで満杯だ。仕方なくゲストハウスで寝て待つ。

14日のパリ行き便は、乗り継ぎ時間が短かすぎて危険(実際、デリー行きは3時間の遅れ。この日のパリ行きにしなくてよかった)。15日は祝日で飛行機が飛ばないので、16日のパリ行きに変更した。これでオーバーステイは10日になってしまうが、やむを得ない。罰金を払うのだろうか、いくらくらいだろうか。ネットで調べるが、情報はみつからない。デリーに2泊する必要があるが、ずっとホテルに居られるよう(喧噪と埃とゴミの町デリーには出たくない)、市内の高級ホテル、インペリアルを予約。ここは私にとって、デリーのオアシスだった。

16日、タクシーで空港に。チェックインを済ませたが、出国カウンターでオーバーステイが見つかる。診断書を見せて事情を説明しようとするが、役人は、具合の悪い私のいい分を聞く耳すら持たず、チェックインした荷物を掘り出させ、嘔吐している私を3時間も留め置いた末に、「Foreigners Regional Registration Office」に明日の朝行くように、と言って、住所を書いた紙をくれた。空港のエアインディア職員は、17日は飛行機がないが、18日はある、というので、またまたデリー2泊を覚悟。少し倹約しなければ、と思い、前回泊まった高級ホテルのそばにあるYWCAインタナショナル・ゲストハウスを予約する。ところがロビーが工事中で、日曜だというのに、夜9時までコンコンと床石を剥がす槌音が聞こえ、建物中が埃まみれ。あまりのひどさに、前に泊まったインペリアルをネット予約する。1泊、YWCAの1週間分だが、お金の問題ではない。YWCAにいたら精神が参ってしまう。

YWCAで朝食をとりながら、窓の外を見ると、このありさま。工事中で、宿泊客を迎えられるような状態ではない)

YWCAのボロ部屋。カギもぐらぐらして、ドアを蹴られたら簡単に開きそう。怖いので、バリケードを築いて寝た)