ストリート・オペラ、Opera des Rues

9月に入ると、いきなり秋がやってきた。でも、先週末からまた、心地よい夏の気候だ。夏の名残を惜しんでこの週末は、ずっと外で過ごした。

まず、日曜日の昼間は、ヴェルサイユ宮殿の庭にある運河沿いでピクニック。宮殿の入場者でなくても、庭には入れる。当然のことながら、フランス式の幾何学的な庭で、やたらだだっ広い。皆はそのあと、噴水ショーを見るというが、あれはつまらない。スピーカーから音楽が流れ、庭園のあちこちにある噴水がピューピューあがるだけだ。まだ明るいため、照明効果にも頼れず、 音楽に合わせて振り付けをしても、噴水のことだから限度がある。
(友人より拝借、噴水ショー) 

それに、噴水の美しさでは、ローマ近郊チボリにあるエステ宮殿のそれをしのぐものはない、と信じている。というわけで、私は一人で早めにそこを切り上げ、バスティーユにオペラ、コシ・ファン・トゥッテモーツアルト)を見に行った。
オペラと言っても、バスティーユ・オペラではない。近くのアリグレ広場で開かれる無料の街頭オペラなのだ。無料行事に詳しい友人からのお誘いだった。アリグレ広場一帯は月曜以外毎日、青空市が出る。しかも安くて、昼すぎに行くと、たたき売り状態。だから大好きな市なのだが、市が終わるころの野菜屑の山を思い出すと、あそこでオペラねえ・・・。

あまり期待しないで行くと、おー、オーケストラのかわりに、グランドピアノが置いてある。少なくとも音楽は生演奏だ。ちょっと期待できそう。歌い手も衣装をつけて、ちゃんとイタリア語で歌っていて、ちゃんとしたプロによるオペラではないか! タダだからと見くびってはいけない。子供やストーリーを知らない人も楽しめるよう、演出は通常以上にコミカルだが、それも街頭の雰囲気に合っていた。歌い手の中では、姉妹の召使いデスピーナ役のソプラノが特に良かった。しかも、1時間半弾き続けたピアニストは日本人の若い女性(あとでプログラムを見たら、イワシマ・カズコさんと書いてあった)。なんだか嬉しくなる。

チケットが高いため敬遠されがちなオペラだが、タダで気軽に楽しめる機会があれば、こんなに多種多様な人が集まるではないか。9月上旬、パリにいたことがないので知らなかったが、2002年から毎年開催されているという。来年は、3日続けて楽しめるよう予定を組もう。
(残念ながら、カメラを忘れた。以前のビデオを見つけた。最初はカルメン、次はホフマン物語と、出し物は違うが、こんな雰囲気)
http://www.youtube.com/watch?v=69cHlJhLbjA
http://www.youtube.com/watch?v=OR99ukXVWSw