開演前、熱気あふれる劇場前


3月の時点で、既に立ち見席しか残っていなかった。それでも15ユーロの立ち見席を2枚予約し、当日、もっといいチケットが手に入ればそれに乗り換えよう、と話し合った。
当日、劇場に早めに行くと、197ユーロのチケットが1枚余っている、という立派な出で立ちの男性がいた。オペラ客の見本のような人だ。1枚を2人で分けようね(幕ごとに)と、これを即座に購入。すると、今度は、両親が来られなくて、177ユーロのチケットが2枚ある、という女性がいた。すぐさま、197ユーロのチケットを他の人に売って、こちらを購入。私たちが持っていた立ち見席2枚もすぐに転売できた。開演前の劇場前の熱気は、稀に見るすごさ。ちなみに、カウフマンはミュンヘン出身なのだ。

劇場に入ると、ロビーに「行方不明」男児の写真のチラシが積んであった。連絡先も何も書いていないので、これは何かの仕掛けだな、と思ったら、やはりこれも舞台装置の一部だった。

さあ、オペラが始まった。舞台は殺風景な工事現場。プリンセスが図面をひいている。現代風の演出だろうとは思っていたが、ここまでとは! 
こんななか、どんな風に銀の騎士ローエングリンが登場するのだろう、と固唾をのんで見守っていると、いよいよ現れたプリンスは、何と、水色のTシャツに銀色のラインが入ったトレーニングパンツ。銀色のスニーカーがちら見える。
(この写真だけ、バイエルン劇場提供)
なんだかねえ、と思いながらも、歌や音楽(ケント・ナガノ指揮)のすごさが、視覚的ガッカリを帳消しにしてしまった。エルザ姫のアンニャ・ハルテロスはじめ、歌い手がすべて粒ぞろい。初日は、演出のリチャード・ジョーンズに対してだと思うが、大ブーイングだったらしい。この日、ブーイングは出ず、盛大な拍手と歓声が歌い手におくられた。

http://operntv.eviscomedia.com/media.1042.html
(ドイツ語だけど、舞台はこんな感じ)
http://video.aol.fr/video-detail/jonas-kaufmann-nun-sei-bedankt-mein-lieber-schwan-lohengrin-5-jul-2009/4220515928
(カウフマンが歌うローエングリン、Nun sei bedankt, mein lieber Schwanーー労いの言葉を受けてくれ、愛しい白鳥よ)
http://mostlyopera.blogspot.com/2009/07/munich-new-lohengrin-with-jonas.html