台湾汚職にも関連

2004年3月、ラウドが金融詐欺で逮捕され、警察は、ラウド、ロンド将軍との関係を明らかにするジェルゴランの手紙を発見。ちょうどいい具合にラウドが逮捕されたのは、すべてお見通しだったサルコジ内相の差し金ではないか、という憶測もある。

2004年中頃、防衛関係取引に関する汚職調査の担当判事が、コルボーから匿名の手紙や情報を受け取った。口座リストには、ファビウスサルコジ内相(当時)の名前があった。調査の結果、リストは偽物と判断され、2007年の大統領選で対抗馬となる可能性が強かったドビルパン首相(当時)がサルコジ追い落としのために、偽情報と知りながらそれをリークしたとして、サルコジは2006年、元首相に対する民事訴訟を起こした。偽造リストはサルコジを狙って作られたものではないと思われるのに、自分を被害者にするために、サルコジはそれを最大限に利用した、と元首相は、サルコジを非難している。
きのうのリベラシオン紙の記事(ルノー・ルカードル記者)によると、サルコジは2004年の最初から、自分に対するこの「工作」を完全に把握していたという。2006年3月まで民事訴訟を待っていたのは、大統領選を見据えた効果的な演出だったのかもしれない。

ジェルゴランがコルボーとなったきっかけは、もうひとつある。1990年代初め、フランスが台湾にフリゲート艦6隻を売却した際の巨大汚職事件を探りたい、と思ったことだという。仏政治経済史上、最大のスキャンダルとされるこの事件では、キックバックを突き止めた台湾軍人、その従兄、軍関係者、フランス人のスパイなどが何人も不審死を遂げている。パリの自宅下で墜落死したフランス人スパイは、台湾にいるとき、この取引に関わっていたとみられ、死ぬ前に「自分はすべて知っている。たいへんな額がフランスに還流した」と友人に打ち明けていた。日本でもよくある話だが、仏警察は、新居のアパルトマンからの飛び降り自殺として、事件を簡単に処理してしまった。妻子の到着を待っていた息子が、入居初日に自殺するはずがない、と、父親は今でも息子は殺されたと思っている。
日本で急死した仏人関係者もいる。
しかしフランス政府は、この件に関して未だに口封じをしているようである。台湾が支払った異常なほどの高額支払いのかなりの部分が、仏、台湾の当事者個人のポケットに入ったとされているから、蓋をあけたら臭いどころの話ではない。

さてさて、被害者は知らぬふりして仕掛けられたワナにかかったのか、ほんとうの被害者は誰なのか。この裁判であらためて明らかになることはあまりなさそうだが、その奥に潜む膿の大きさを知れば知るほど、目が離せない・・。