サルコジxドビルパン、ヴェルダンの決戦

おもしろいことになってきた。
クリアストリーム疑惑で、政敵サルコジ(当時は内相)を追い落とすため虚偽告発をしたとして裁判にかけられていたドビルパン元首相が、無罪判決の翌日、テレビ討論ではっきりとサルコジ大統領に宣戦を布告した。
木曜日の判決後、サルコジ大統領は、「控訴はしない、この件は終わり」とコメントしたが、金曜朝、検察は控訴を発表した。ドビルパン元首相は、「これは検察の決定ではない。大統領府の高官から、検察官が大統領府に呼ばれ、控訴するよう命令された、と聞いている」、と爆弾発言をし、サルコジ大統領を 「二枚舌のうそつき」と非難した。ドビルパンのシンパも「サルコジはあと1年、ドビルパンを(法廷に)縛り付けておきたいのだろう」と憤慨し、2012年の大統領選に向けて、ドビルパン擁立の姿勢を深めている。これに対して大統領府は「ドビルパンのウソ告発には反応したくない」と応戦し、状況は泥沼化している。
2人とも保守与党UMPに属しているが、党はすでにサルコジ派、ドビルパン派に分裂しており、ドビルパンが2012年の大統領選に打って出るならば、新党を結成することになるだろう、という観測もある。

フランス人の友人によると、党内での大統領候補選出戦では、有力な競合に対して何らかの告発、裁判沙汰が引き起こされ、対立候補が淘汰されるのが常だという。今回は両方とも弁がたち、しぶといので、行方が注目される。
UMP議員の一人は、この対決を「ヴェルダンの決戦だ。双方とも2年間塹壕に留まって戦うことになる」と表現した。第一次大戦の独仏消耗戦ヴェルダンのようになってしまったら、経済政策、失業対策などはどうなってしまうのだろう。