福島の子供たち

日本の文部科学省は4月19日、年20ミリシーベルトまで子供たちが被曝してもいい、という放射線量基準を、福島県教育委員会や関係機関に通知した。これは、ドイツの原発労働者に適用される最大線量に相当するうえ、子どもの感受性の強さや内部被ばくをまったく考慮に入れない、大変暴力的な基準だ。これについて、世界中から批判の声がわき起こっている。フランスでも在仏日本国大使あてに作成された<子どもの年20ミリシーベルト基準の即時撤回を求める緊急要請>に、今日の時点で15943人の署名が集まった。
http://groupes.sortirdunucleaire.org/spip.php?page=petition-japon

フランス版請願書にはまた、
「日本政府に対し、この非人道的な決定を支持した専門家の名前を直ちに発表するように」
という要請が含まれている。今後、これらの専門家を告訴するときが、不幸ながらも絶対に来ると思うので(内閣官房参与の小佐古東大教授が退任したのは、来るべき告訴を恐れたからかしら?)、政府から正式に名前を引き出しておくのは非常に有効だ。フランスでは、チェルノブイリ事故直後に「死の灰による汚染はない、大丈夫」と発言した放射性ヨウ素防護中央局(保健省管轄)の局長が甲状腺ガン患者団体から実際に告発されている。

原発事故のニュースを追っている人ならだれでも、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーに抜擢された長崎大の山下俊一教授が、「この非人道的な決定を支持した専門家」の一人なのをよーく知っている。
「(年20ミリシーベルトにしなかったら)たくさんの人をいったいどこに逃がしますか、え、あなた」
という発言から、これが「子供の安全」ではなく、「避難させなければならない子供の数を抑えるため」に作られた基準であることが明白だ。

「アドバイザーの先生が大丈夫、というから遊ばせてます。向こうにも、たくさんの子供がいますよ」
と、小さな子供を公園の滑り台で遊ばせている福島のお母さんの映像を見てのけぞった。この子たちの5年後、10年後はどうなるのか?
「被曝医療の実験材料にならないで!しっかりしてよ、お母さん」
と映像に向かって叫んでしまった。
山下教授は、「皆さんに基準を提示したのは国。だからその指針に従う義務がある」と、すでに責任を逃れる発言をしているが、この母親の映像などを今後起こりうる裁判の証拠としてきっちり保存しておかなければならないと思う。

そして私は、請願書にもうひとつ付け加えたい。
「これらの専門家を起用すると決めた政府の責任者の名前を直ちに発表するように」。