フェッセンアイム原発に人間の鎖

フランス原子力安全局ASNは6月末か7月頭に、アルザスのフェッセンアイム原発に対して、さらに10年間の運転継続を許可する準備をしているもようだ。フィガロ紙は23日、すでに延長は決まっている、と報じた。
フェッセンアイム原発は、運転34年。現在稼働中の原発では、フランスで最も古い。格納容器底部のコンクリが、福島第一でも8mあるのに、わずか1mしかないチャチな原発だ。その上、真下にライン川の自由地下水があって、大事故が起きれば、オランダのロッテルダムまでライン川が汚染される恐れがある。ストラスブール市議会でも4月に、運転継続反対の決議を出している。

これで思い出すのは、福島原発の運転延長許可である。
2011年2月7日、原子力・安全保安院は東電に対して、稼働40年の老朽福島第一原発一号機をさらに10年運転してよい、という許可を与えた。それから1月ちょっとで大事故に至り、未だ収束のメドはたっていない。

老朽化が福島事故の原因ではないとはいえ、フランスではフクシマ後、いやフクシマ真っ最中の今、フェッセンアイムの即時閉鎖運動が盛り上がってきており、昨日26日、約5000〜1万人が5kmの人間の鎖を作って同原発を取り囲んだ。ドイツ国境に近いため、脱原発の道を歩み始めたドイツからもスイスからも援軍が来た。「今日はフクシマ、明日はフェッセンアイム」というプラカードも見られた。

フェッセンアイム原発延長反対は、福島後に始まったわけではない。この1月、賛成派、反対派による激しい議論がテレビで放映された。私が映像を見たのはつい最近だが、賛成派は相変わらず、石炭で二酸化炭素をだすのはいかん、電気代があがる、の一点張り。自動車だって30年動かせば、廃車になる、といえば、延長賛成派は、原子炉以外のすべての部分が修理、取り替え可能だ、と反論。

30年経った自動車の部品がダメになれば、動かなくなるだけだ。自動車の持ち主に影響があるだけだ(他を巻き込む事故が起きない限りは)。しかし、原発はそうではない。住人や環境にどれほど壊滅的な被害を与えるかが、想定できないのが原発だ。中学生でもわかる簡単なことを無視するから、賛成派の議論はいつも幼稚でブが悪い。

反対運動の拡大で、運転継続が見直されることを心から願っている。