フェッセンハイム原発、10年延長許可される

原子力安全局ASNは7月4日、アルザス州フェッセンハイム原発(フェッセンアイムだが、日本で通用してる表記に従う)1号機の10年延長を正式に許可した。80kmの距離にあるアルザス州都ストラスブール市議会が4月に、ほぼ満場一致で延長反対決議をしたにもかかわらず、また、安全に関するストレステストの結果も待たずに、である。最古の1号機(加圧水型)は、コンクリ基部の薄さ、燃料プールの保護不備など、安全性に関して問題が多い。フランスは地震が少ない国だが、この地域は最大M7.2の地震の可能性がある。それに対して、この原発耐震強度はM6.7。あとは「想定外でした」とやるつもりだろうか。

前にも書いたが、延長賛成派は「圧力容器以外、すべての部品が交換可能。使用し続けても問題ない」と主張する。ところが、今日、京都大学小出助教のサイトを見て、老朽原発で一番危ないのが、取り替えのきく各部分ではなく、この圧力容器であることを知った。以下のサイトの、「7月4日、玄海原発の圧力容器の脆さについて」で詳しく説明されている。
http://hiroakikoide.wordpress.com/2011/

鉄の圧力容器は、中性子線を浴びると脆くなり、ガラスに近づく性質がある。トラブルがあって冷やそうとすると、バーンと割れてしまうから、原子炉を冷やせなくなってしまう。どの程度脆くなったか、どの程度ガラスに近づいたかを知るために、鉄のテスト片を原子炉に入れ、様子を見ながら運転しているのだそうだ。
原発が商業化された当時、耐久は30-40年と考えられていた。おそらくテスト片の結果を見て、もうちょっと行けそうだ、と、世界各地でずるずる老朽原発の運転が延長されてきたのだろう。ある時点でガラス化が急激に進行する可能性があるかないかもわからない。まったく、「安全性をすこしずつ食いつぶしながら」(小出助教)運転しているのが現実だ。

原発の1.5km先はドイツ、40km先はスイス。脱原発を決めた両国から何らかの動きがあるのを期待したい。