大神殿の原型はソロモン王の神殿

まず、入り口ホールから、大神殿へ。レリーフが彫られた巨大な扉は、儀式のときしか開かない。レリーフは金属工、石工、木工、エルサレムに石を運ぶレバノン杉の船、織物工、ラクダで運ばれる金銀、祈り、神殿に運ばれる約櫃(あの、ロスト・アークである)で、美術品としてもなかなかのもの。扉の上にはヘブライの神エホバのシンボル、下には、知恵を求めたソロモン王に対する神の約束の言葉が彫られているらしい。

四方に1700席を巡らせた巨大な神殿は、年7回の儀式にしか使われない。ファッション・イベントには貸しだされていないようだ。上部の壁には、有名なシンボル、目と星、梯子など、フリーメーソンのシンボルがたくさん描かれている。星は、とんがりが5つの星と、6つのダビデの星の両方が使われており、5つ星は幸運、健康、完璧さのシンボルで、フリーメーソンでは、5つの友愛を示すとされる。ダビデの星は、ユダヤ教のシンボルでもあるが、ここでは、ソロモン王の印章を表しているそうだ。
幾何学を知る必要のある石工だから、ユークリッドピタゴラスの絵は理解可能だが、約櫃、ソロモン王、太陽に向かって戦車を走らせるヘリオス、ドラゴン退治をする聖ジョージ、と見て行くと、頭がこんがらがってきた。これは一体何なんだ。

規模は違うが----フリーメーソンの方、ごめんなさい----ベトナムで見た大衆宗教、カオダイ教の寺を思い出した。キリストもモハメッドも仏陀もヒンズーの神も、何もかもが取り込まれ描かれているのだ。
フリーメーソンは宗教ではないが、至上の神を信じることが条件となっている。その神は、ヒンズーの神であってもキリストの神であっても構わない。だからどんな宗派の人も受け入れるという。カオダイ教は既成宗教のすべての神を取り入れることで大衆化した、こちらは選民を対象にしている、という違いはあるけれど、カオダイ教を思い出すのも、無理ないと思いませんか?
フリーメーソンは人間の関係にかかわるもの、宗教は人間と神の関係のかかわるもの」(パンフレットより)
とあるが、ではどうして、フリーメーソン会員が、至上の神を信じる人でなければならないのか、よくわからない。仏教徒は至上の神なんて信じないから、会員にはなれないのかしら。